この度、みなとがAsahi.comに紹介されました。
これは朝日新聞記者のNIEスタッフの玉木ゆりさんの記事です。
たまたま玉木さんがスターダストに来られたときに、
みなとをすっかり気に入って、記事にしてくれました。
ほかにも、asahi.comに玉木さんの記事が載っているので見てみてください。

21世紀のねこ「たまき花」 October  24, 2002
猫の日々(最終回)

たまき花の写真 タマキ・ハナ
しま三毛の雑種。1990年、2月3日生まれ(と、譲渡契約書に書いてあった)。気性は「ラテン系で、喜怒哀楽の表現がオーバー」。飼い主は、朝日新聞記者の玉木ゆり。


バー「スターダスト」の看板猫・みなと君は、カウンターに陣取り、ガラス越しに夜景を眺めていた(写真下、店のホームページから転載)。
撫でても、手の肉球をいじっても、我関せずとまったく相手にしてくれない。遠くチラチラする港の灯りを、泰然と見続けている。



店に入った時は、マスターから日課のインシュリン注射をしてもらうところだったけれど、「やだよ」と一声鳴いただけで、おとなしく抱かれていた。

「12歳よ。人間でいえばもう70歳とか80歳とか……でも人間なら、なんて考えるの意味ないですよね」と、ママさん。

JR東神奈川駅近く、サザンオールスターズの歌にもうたわれたバー。時間が止まったようなオールドファッションの店内で、みなと君は、朝も昼も夜も暮らしている。
初代猫「みらい」が、店の外で車にひかれて命を落とした後、新橋の焼き肉屋から生後3カ月でもらわれてきたという。
少し前から糖尿病を患っているものの、色つやよく、どっしり。もう1人のマスターと呼ばれ、常連客らに大事にされている。

それにしても、12年間、毎夜のカウンター番。どんなにたくさんの人間を見てきた?どんな物語があった?聞いてみたい。

……などと思いながら、深い目をのぞき込んでいて、数カ月前に入ったペットショップを思い出した。

アルマジロやイグアナ、キツネザルなどが「触って買える」というすごい店。隅の檻の中、なぜか大きな長毛の猫が2匹、並んでうずくまっていた。
目が合うと、茶トラはすがるような瞳で見上げ、黒猫はスッとそらせて下を向く。悟ったような、哲学的な感じのする目だった。

買われていくには明らかに育ちすぎていた。一体、どんな経緯でこんなところに連れてこられ、いつからこうしているのか。これからどうなるのか。
猫との別れ際、私は必ず「元気で長生きするんだよ」と言うことにしているのだけれど、この2匹には言いようがなかった。

バーで一生を送るみなと君、ショップの猫。同じ猫に生まれても、その猫生、瞳に映る世界はあまりにいろいろだ、と思う。流れる時間の長さも意味も、違うことだろう。

そして花(写真下)。みなと君と同じ年なのに、部屋の中だけで世間知らずに生活しているせいか、相変わらず子どもっぽいまま。
この間、ちょっと気になることがあって獣医さんに連れて行ったら、異常なし、健康そのものだったが、フーッと先生に思い切り吹いて「若いですねえ」と呆れられてしまった。

1日に20時間は眠り、家具やカーテンを遊具にして飛び回り、四六時中、何か主張している。
ただ存在するだけでコラムになり、ネットを通じて1年10カ月、世界中に発信させてくれた。
「まったく猫というヒトたちは……」と、改めて考える。

長い間、ご愛読、ありがとうございました。再見。




尚、みなとの紹介記事を転載するにあたって本人の許可を得ているので、
無断転載はご遠慮ください。